拠点所長からのメッセージ

 京都大学ASEAN拠点は、ASEAN地域における京都大学の様々な活動を支援・推進するため、2014年に設置され、既に6年が経過して、ASEAN地域において、一定の存在感を示すようになってきました。私は、2019年4月、本拠点の初代所長、柴山守先生の後を継ぎ、所長となりました。

 東南アジアは、赤道を挟んで、ケッペンの気候区分でいう、熱帯雨林気候と熱帯サバンナ気候の地域に広がり、多様な自然環境の下、歴史的には、中国・インドという巨大文明のはざまで、多様な民族が多様な文化を育んできました。今日、東南アジアは、世界の中で急速にその存在感を高めています。人口は、この30年の間に、4.3億弱からの6.6億強となっていますし、経済発展も目覚ましいものがあり、GDPは2兆ドルを超えています。また、経済発展にともなう都市の成長も著しく、各国に巨大都市圏が誕生し、科学技術の点でも、顕著な進歩を遂げています。一方で、急速な経済発展の副産物なのか、自然破壊・都市環境汚染・巨大災害・格差拡大など、さまざまな課題も目立つようになっています。また、地政学的に超大国の影響を受け続けており、政治外交でも多くの課題をかかえています。

 このような状況下で、東南アジアは、日本にとって重要性を高めています。経済的、即ち、市場としての、食料供給先としての重要性もさることながら、政治的な重要性も高まっています。共通する点の多い地政学的立場からも、ASEAN地域との協力は、我が国にとって欠かせないものになっています。また、数多くの地球規模課題についても、この地域との協力は必須です。

 京都大学は、フィールド研究を主体として、古くからこの地域との間で学術交流を進めてきました。近年では、さまざまな分野での共同研究を進めていますし、オンサイトラボも複数設置しています。ダブルディグリープログラムなどの共同学位プログラムを含む、正規留学生の派遣受入、交換留学、短期交流プログラムの実施など、学生交流も盛んに行っています。京都大学にとって、ASEAN拠点の重要性は、近年、増すばかりです。

 ASEAN拠点のミッションは、(1)ASEAN地域と京都大学との学術交流を支援し、共同研究活動の飛躍的な発展と展開を図る、(2)ASEAN地域における教育活動を支援し、学生交流の活発化を図る、(3)本学とASEAN地域の国際化を支援し、さまざまな地球規模課題の解決に資する人材育成を図る、(4)ASEAN地域で活躍する卒業生の支援を強化し、ASEANと本学の今後の発展に寄与するネットワーク形成を図る、ことです。京都大学ASEAN拠点は、その活動を通して、世界に誇ることのできる卓越した学究活動の成果がASEAN地域から生み出されることを願うと同時に、次世代の育成やネットワークの形成により、本学とASEAN地域のより緊密な未来が築かれることを心から願っています。本拠点は、そのために、スタッフ一同、全力を傾注する所存です。本拠点の活動に、ご支援・ご協力をいただきますことを、心よりお願い致します。

京都大学ASEAN拠点所長

縄田 栄治

 

歴代拠点所長メッセージ

2014-2018 柴山 守

pagetop
Search