拠点長からのメッセージ

ASEAN地域における学問探究の新たな<縁>と<輪>の共創を目指して

京都大学の基本理念には、「自由な学風」と「地球社会の調和ある共存」があります。その地球社会とは、世界に開かれた先端的な学術研究を活かした社会の構築です。こうした中で、10年、20年の先を見据え、ASEAN地域での互助・互恵的な教育・研究交流や国際貢献の機会と場を提供する役割をもって京都大学AEAN拠点が設置されました。

陸域・海域アジアからなるASEAN地域は豊かな自然に恵まれ、歴史的にも約15世紀以上にわたり東西文明・文化交流の「要」としての役割を果たしてきました。地球上では類例のない多様な自然環境のもとで、多彩な文化と生活様式を育み、社会発展を遂げてきました。歴史的に培われてきた多様性の共存と共栄のための「知」の蓄積と、それをダイナミズムに変えてきた経験の重要性は、特筆に値します。

確かに冷戦期には、米ソの代理戦争の戦場となり、その後には内戦が続いた国もありました。が、1990年代に入ると、そうした対立と紛争を解決し、ASEAN共同体としての基礎固めが始まりました。今や、EUをしのぐ6億の人口を擁する地域として、台頭するインドと中国をつなぎ世界経済を牽引する政治経済プレーヤーとなっています。これからの世界が、個別地域の独自性を尊び、互恵と共生の念にもとづく地球市民社会を作りあげようとするならば、ASEANこそがその最適モデルとなることを確信しています。

京都大学ASEAN拠点は、ASEAN地域の国々で独自に培われてきた伝統と文化を前提として、ASEANが有する学究に貢献する潜在力を引き出し、新たな学究の「輪」を築いてゆきます。<輪>と<輪>の連鎖を相乗的に活性化させる触媒となることで、現代世界が直面する喫緊課題の解決に寄することを目指します。その目標に向けて、ASEAN地域に対する「One-Stop-Service-for-mutual-development」機能を果たすことミッションにします。

具体的には、(1)ASEAN地域と京都大学との間において<頭脳循環>をはかり、学究活動の飛躍的な発展と展開を図ります。(2)ASEAN地域の研究・教育・国際化貢献において「出逢い」や「結びつき」の機会と<縁>を大切にした<輪>を実現する場を提供します。(3)ASEAN地域における<輪>を介した学究活動の成果とその潜在力を世界に向けて積極的に発信してゆきます。

京都大学ASEAN拠点は、このミッションを達成してゆくことをとおして、世界に誇れる卓越した学究活動の成果が、ASEAN地域から生み出されることを願ってやみません。本拠点での活動は、<縁>にもとづく<輪>の連鎖を共創する学究活動の基盤を提供し、学問探究の新たな地平を切り開いてゆくことにあります。このことは、京都大学の基本理念にもとづき、世界に開かれた大学としての先端的な学問・研究を、アジアの友人らとともに積極的に展開すべき使命の一端を担うことにもなります。

本拠点の設置を契機に、京都大学とASEAN地域の大学・研究機関との教育・研究の連携・協力が進み、現場の問題や喫緊の課題の解決に資する成果を生み出してゆくべく、スタッフ一同は微力ながら全力を傾注して努力する所存であります。本拠点の活動に忌憚のないご意見・ご要望をお願いすると共に、ご教示・ご支援・ご協力をいただきますよう心よりお願い致します。

 

京都大学ASEAN拠点長 柴山 守

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