The Thailand Research Fund Seminar 2018 at Bangkok, Thailand (21 August 2018)

バンコクの小規模精密農業セミナーにて東南研教員が招待講演を行いました

(Kyoto University ASEAN Center Seminar Seriesの成果)

京都大学ASEAN拠点では今年度の活動計画の一貫として、ASEAN地域で活動する著名人を招き新たな学術交流の促進へ貢献するため、学術研究支援室(KURA)と共同で「Kyoto University ASEAN Center Seminar Series」を企画しています。2018年5月23日には、タイのTRF(The Thailand Research Fund)一行の本学訪問にあわせ、農学、農業経済、社会心理学、東南アジアやアフリカ地域研究など幅広い視点を持つ研究者や留学生など計35名がセミナーに参加しました。日泰双方の農業政策や研究活動などに関する学際的な議論が盛況に行われました(https://www.kura.kyoto-u.ac.jp/act/359)。

上記セミナーが契機となり、河野泰之教授(副学長 国際戦略本部長 東南アジア地域研究研究所)、渡辺一生連携准教授(東南アジア地域研究研究所)が、第2回小規模精密農業セミナーに招かれ、2018年8月21日にバンコクにて講演を行いました。本会は、農家・行政・研究者・民間が一体となり、「人類・エコシステム・精密農業に資するデータを用いて、小規模農家を支援する」ことを目指しています。TRFの小規模精密農業のコーデイネータをつとめるAttachai Jintrawet教授(チェンマイ大学)の司会の元、中国雲南省、タイ東北部、日本の近畿地方、ラオス北部の事例発表が行われ、約50人が参加しました。

河野副学長は先ず、日本での小規模農業の概要を紹介。続いてタイ東北部に位置するドンデーン村でのフィールドワークに基づく研究成果を発表しました。1980年代から蓄積してきたデータに拠ると、タイ経済の高度成長の下で、農家の自助努力と技術改良(肥料・灌漑・農業機械など)により稲作の生産力が改善されたが、同時に農家の生活様式や人口構成、家族様式等も変化していることを示し、経済成長が生産面においても生活面においても小農に大きな影響を与えたと述べました。日泰両国において農家が高齢化する中、小規模農家が共有できる開発目標に協働して取り組むことが重要、としめくくりました。

渡辺連携准教授は、ドローンを農業に活用する方策について発表を行いました。離農の主要因は、高齢化に加えて、獣害(鹿、イノシシ、猿などに作物を食い荒らされてしまうこと)が挙げられます。そこで、地方自治体の協力を経て、東南研と研究協定を結んでいる三重県いなべ市でサーモカメラを搭載したドローンを飛ばして撮影した映像が流されました。「夜間にデータ収集すると、地表と動物の温度差が判別しやすいため、複数の鹿が毎日晩御飯を食べに来る様子が分かりやすい」との解説に、会場の参加者は大きな関心を寄せていました。

会場には、TRFの農業部門のデイレクターであるPrapaporn Khopaibool准教授をはじめ、5月に来学したメンバーの多くが集まり再会を喜びました。このような結びつきの機会と<縁>を大切にした<輪>を繋ぎ、今後も、京都大学ASEAN拠点と学術研究支援室は、継続的な研究交流を応援していきます。

 


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