要旨
開発途上国では台風(地域によってはハリケーンやサイクロンとも呼ばれる)によって多くの建物が強風被害を受けています。2015年3月にバヌアツ共和国を襲ったサイクロンパムも例外ではなく、同国に大きな被害をもたらしました。なかでも、タンナ島は甚大な建物被害に見舞われました。しかしながら、建物被害の数に比べて死傷者数は少なく、また復旧作業も迅速に進んだことが報告されています。我々研究チームはこれまでに発災約1か月後に被害調査を行うとともに、それらの要因を明らかにするためにその後も継続して調査研究を行ってきました。
今回のレクチャーでは、それらの調査研究で明らかになったことを報告するとともに、現在バヌアツ共和国で進めているJICA草の根事業「タンナ島における在来建設技術高度化支援」を紹介します。また、これらの調査研究および事業でタンナ島から学んだことを共有し、他地域へ展開する可能性について議論したいと考えています。
開催報告
プログラム
18:15 | 開会挨拶 |
18:20 |
レクチャー 西嶋 一欽 准教授(京都大学防災研究所) 「自然災害に強い建物をどう実現するか?」 |
19:00 |
解説 ルカス・レーイ 講師(ハイデルベルク大学・人類学研究所) |
19:20 | 質疑応答、ディスカッション |
19:45 | レセプション |
20:30 | 閉会 |
司会進行:鈴木環(京都大学 欧州拠点)
参加登録
参加ご希望の方は3月12日(木)までに氏名、所属機関を記載の上、以下のメールアドレス宛ご連絡ください。
京都大学欧州拠点(KUEC)
メール: info_eu@oc.kyoto-u.ac.jp
電話: +49-(0)6221-54 30034
講師プロフィール
西嶋 一欽 准教授
京都大学防災研究所
スイス連邦工科大学(2004-2010)およびデンマーク工科大学(2011-2013)において、工学的意思決定論というテーマの中で、 気候変動への社会基盤の適応策 ・災害発生時のリアルタイム意思決定最適化 ・既存構造物の維持管理計画に関わる意思決定について研究に従事した。 また、企業との共同研究を通して台風によってもたらされる保険支払額の予測のためのモデル開発を行ってきた。 2013年9月に京都大学防災研究所に着任し、現在は上記の研究課題を継続するとともに、変化していく環境の下での持続可能な社会の実現に資するための『自然現象によって被害に至る、物理的・経済的メカニズムの解明』に関する研究を行っている。
ルカス・レーイ 講師
ハイデルベルク大学・人類学研究所
※日独ジョイントレクチャーは、相互にオフィスを持つハイデルベルク大学と京都大学が、両大学の学術交流の深化と発展を目指し、不定期に開催しています。