ドイツ側受け入れ研究機関:
- Prof. Dr. Sören Auer, TIB – Leibniz Information Centre for Science and Technology and University Library (German National Library of Science and Technology)
訪問先:
- Dr. Michael Färber (University of Freiburg)
- Prof. Dr. Ramin Yahyapour, Dr. Sven Bingert (Gesellschaft für wissenschaftliche Datenverarbeitung mbH Göttingen (GWDG), University of Göttingen)
訪問時期・期間:2019年1月16日(水)〜2019年2月1日(金)
訪問目的:
- 学術情報のナレッジグラフに関するドイツでの研究ネットワークの開拓と強化
AIDAへの応募動機
学術情報のナレッジグラフに関する研究者ネットワーク開拓を目指して
派遣者は、ナレッジグラフを利用した学術論文推薦システムに取り組んでいる。今後の推薦手法の向上や、推薦システムに推薦理由を説明する機能の開発には、学術情報のナレッジグラフの利用が有用であると考えている。そこで、セマンティック・ウェブ技術に関する研究開発と学術分野を含む様々な場面におけるそれらの技術の実用が盛んなドイツを訪問することを計画した。同国の研究者とのネットワークの開拓と強化を目的とし、AIDAのプログラムへ申請を行った。
滞在の成果
フライブルク、ゲッティンゲン、TIBの研究者とのディスカッションの機会が得られた
フライブルク大学では、かねてより交流があったMichael Färber博士と、既存の学術情報のナレッジグラフの質に関するディスカッションを行い、国際会議への投稿を行った。
ゲッティンゲン大学では、情報基盤センターに該当するGWDGとゲッティンゲン州立/大学図書館によって構成されるeResearch Allianceを訪問した。情報基盤センターと図書館が密接に協力して、永続的識別子(PID)や人文情報学に関する研究開発を推進している環境を体感した。
TIBでは、研究開発が進められているOpen Research Knowledge Graph(ORKG)について紹介していただき、構造化された知識の入力方法や将来の展望について意見交換した。また、研究セミナーで学術論文推薦システムについて発表する機会をいただき、ORKGの学術論文推薦システムへの応用について展望をディスカッションすることができた。
今後の展望
滞在で構築したネットワークを活用して、国際会議など様々な機会にネットワークをさらに拡大することで、知識フローの学術情報流通の実現に貢献したい。ORKGの学術論文推薦システムなどへの応用というテーマで、共同研究のファンドがあれば、応募したいということで同意した。
また、派遣者はDAADの奨学金により過去にドイツに留学していた。そのため、DAADが提供する過去の奨学生を対象とした再派遣(1〜3ヶ月)のプログラムへの応募資格を有することから、申請したいと考えている。

Michael Färber博士とフライブルク大学にて

Sven Bingert博士、Ramin Yahyapour教授とレストランにて
その後の展開とメッセージ *2020.3.26 追記
ドイツ滞在を通じて交流を深めたMichael Färber氏と、電子図書館会議*をはじめ、いくつかの共著論文を発表した。
またいくつかの研究助成プログラムに応募し、2020年度稲盛財団研究助成 に無事に採択された。
(テーマ:「エビデンスに基づく図書館資料推薦システムの実現に向けた学習ログ分析手法の研究開発」)
新たに採択された京都大学・DAADパートナーシップ・プログラム(2020-21年度)では、日独双方向での研究交流を通じて、研究をより進展させネットワークを拡大させたい。
*M. Färber, C. Nishioka and A. Jatowt, “ScholarSight: Visualizing Temporal Trends of Scientific Concepts,” 2019 ACM/IEEE Joint Conference on Digital Libraries (JCDL), Champaign, IL, USA, 2019, pp. 438-439.
doi: 10.1109/JCDL.2019.00108