八木 遥 (やぎ はるか)
所属:京都大学総務部人事課
期間:平成29年4月から平成29年9月(約6ヶ月)

留学説明会の来場者に向けて
京都大学の紹介を行なう様子


■具体的な研修内容について
 海外拠点のミッションである研究活動支援、教育活動支援、教職員・学生の国際化および広報・社会連携・ネットワーク形成を軸とした活動を通して、多様な業務に携わる機会を得ました。企画から実施、報告に至るまでの一連の流れを経験するなかで、欧州の関係機関と連携し、また教職員や学生と直接交流することにより、本学の国際化に向けた動きや活動について理解を深められたと思います。印象深かった研修内容を上述のミッションごとに紹介します。

《1.研究活動支援》ハンブルク大学共同シンポジウム等への参加

 ハンブルク大学と大学間学術交流協定が締結され、調印のセレモニーに出席しました。また、締結に伴い開催された共同シンポジウムは2日間にわたって開催され、6つの研究分野に分かれて研究発表や共同研究に向けた話し合い、実験設備の見学等が行われました。研修者は主に当日の誘導案内および記録を担当しました。

 大学間協定が結ばれる瞬間に立ち会えたことは、教育・研究を支える大学職員としてとても印象深い経験となりました。また、初めてシンポジウムに参加し、研究者交流の現場を垣間見ることができただけでなく、共同研究へと発展していく可能性を実感する機会となりました。

《2-1.教育活動支援》留学説明会の実施

 本学に留学予定の学生及び日本留学に興味を持つ学生を対象とした留学説明会がフライブルク大学及びハイデルベルク大学において催され、研修者は大学紹介や日本における生活基本情報のレクチャーを担当しました。大学として何を伝えるべきか、限られた時間の中で何を優先させるのか、適当な情報量はどのくらいなのかなどを検討したうえで、できるだけ自身の言葉、自身の見せ方でプレゼンテーションを作成することに注力しました。派遣前に受講した英語実践研修での学習内容を活かして、発表時は大きな声で、ゆっくりと、目配りしながら話すことを心掛けました。参加した学生について、日本の学生と大きく異なる点はメモをとったり資料を見ながら聞く学生がほとんどいなかったところです。そのため、プレゼンテーションをするうえでは発表者も前を見て対話するようにゆっくり話すこと、パワーポイント上の文章を相手が読める程度の長さにして聞き手が情報を漏らすことがないようにすることが重要であると感じました。

 ハイデルベルク大学における説明会は、拠点が主催するもので、プログラム構成等の企画や本学留学生によるプレゼンテーションのサポート、開催報告に係る広報記事の作成などを併せて担当しました。

《2-2.教育活動支援》教育フェア“EAIE2017”への参加

 欧州の国際教育交流団体EAIE(European Association for International Education)の年次大会に参加しました。国際教育支援室、国際教育交流課ならびに国際交流課と連携して本学の学生交流の深化が望まれる欧州の大学と意見交換および情報収集を行いました。3日間にわたり合計18大学と面談を実施し、研修者は書記を担当しました。

 ヒアリングはイギリス英語や英語を母語としない担当者のアクセントに苦戦しました。例えば学部学科が話題に挙がったときに“フィオロジ―”と聞き取ったものが実際には“Theology(神学)”であったり、“ファイン・アーツ(美術?)”が“Finance(財政学)”であったりと、馴染みのない発音や想定していない単語を正く聴き取ることは難しかったです。そのような場合は、意味を理解できなくても聞こえたまま英語あるいはカタカナでメモを残し、面談後に全員で情報共有する際に整理するようにしました。今回の経験を今後のヒアリングに役立てるとともに、ヒアリング力をさらに高めるために、より多くの英語を聞いて音に慣れる努力をしたいです。

《3.教職員・学生の国際化》大学職員の国際化に関する調査の実施

 大学職員の国際化に関する調査を企画し、ハイデルベルク大学、筑波大学ボン事務所及び千葉大学ドイツセンターベルリンオフィスの職員を対象に大学の国際化に関するヒアリング等を実施しました。拠点において職員をターゲットとした調査を実施するのは今回が初めてであり、本学でも検討の余地があると思われる他大学の取組みについて関係部署へフィードバックを行いました。

 ジョン万プログラムでは、会計処理など決められた業務もありますが、「これをしてみたい!」と希望することで、自身が興味のあることに取り組むことができます。私は派遣前に人事課に所属していたことから研修制度に関心を持ち同調査の実施を希望しました。企画から実施、報告書の作成を半年間で行うというのはとても大変でしたが、学内発表を行った後の達成感はその分大きなものがありました。

 《4.広報・社会連携・ネットワーク形成》ウェブサイトなどを活用した広報活動の実施

 欧州拠点ウェブサイトおよびFacebookへの記事の掲載・投稿やメールマガジンの配信により拠点活動の情報発信を行いました。記事の執筆にあたっては、広報媒体の特性に合わせて文体を工夫することや、読み手に伝えるべき内容を正しく理解して文章を作成することに苦労しましたが、対外的な文章を作成するうえで勉強になりました。また、一読しようと思ってもらえる起承転結のある文章を書けるように、他の部署や他大学の広報記事を筆者の視点から読むようになり、意識の変化も感じています。

■研修を振り返って 

 幅広い業務を経験できたことに加え、業務や交流を通してグローバルに活躍する職員の働き方(働く姿勢)や能力について学び、国際的な職員を目指すうえでの課題やそれを克服するためのヒントを得たことが成果と考えます。国際的な職員とは単に語学力が高い職員ではなく、日本で活躍しうる素養を持つ人材が英語というツールと異文化理解力をもって自身の能力を応用的に活かせる人材であると感じました。思考力や表現力、行動力、情報収集力を総合的に養うとともに英語力および異文化理解力をより一層深めることで、国内外問わず活躍できる職員を目指したいです。

■休日の過ごし方

  休日は建築とパン屋巡りを楽しみました。大学時代は建築・住環境学を専攻しており、教科書で見た教会や近代建築を一つずつ見て回りました。また、以前から世界の国・地域または文化などを描いた絵本を集めており、道中で本屋に寄ってはいろいろな絵本を購入しました。

 印象に残っている建築は、近代建築の先駆けとなった建築学校・バウハウス(ドイツ・デッサウ)、近代住宅の実験住宅郡・ヴァイセンホフ・ジードルング(ドイツ・シュトゥットガルト)、ミースによる設計・トゥーゲントハット邸(チェコ・ブルノ)です。何れも近代建築初期ならではの簡素さの中に、近代化への情熱のようなものが感じられました。

 建築にそこまで興味がない方にもお勧めしたいのは、ドイツ南部、スイスとの国境近くにあるビトラ・デザイン・ミュージアムです。(家具メーカー・ビトラ社のミュージアムです。)丘の上に広がるテーマパークのような空間に、安藤忠雄氏をはじめ世界を代表する建築家が設計を手掛けた施設が建ち並び、建築を楽しみながら、ビトラ社の最新家具や家具の歴史を学べます。二時間の建築ツアーも現地で申し込み可能です。自然が豊かでカフェなどもあるので、一日のんびり過ごせると思います。

 パン屋のおススメもたくさんありますが、パンの好みによってご紹介しますのでお気軽にお尋ねください。

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