Erasmus+プログラムを利用した、ボルドー大学博士研究留学(医学研究科 島本大也さん)


EUのErasmus+プログラムを利用して、博士研究のために医学研究科からボルドー大学に留学した、島元大也さんより報告をいただきました

島本大也(しまもと ともなり)| 経歴:京都大学社会健康医学系専攻 予防医療学分野(博士後期課程) | 留学先:ボルドー大学(フランス)人口健康研究センター | 期間:2017年9月15日〜2018年3月15日(約6ヶ月)

 

留学を志すきっかけは?

私が所属する研究室では、大学生の健診から、生涯にわたって病気や生活に関する情報を収集し、健康の維持や増進に活用していく大規模な研究をしています。
留学先のボルドー大学人口健康研究センターでは、学生の長期の追跡調査が実施されており、2015年に実施された「京都大学―ボルドー大学共催国際シンポジウム」を機に双方の研究グループ間で積極的な交流が行われていました。自身も博士研究に取り組む中でボルドーに留学し、研究をさらに深めたいと思い、本Erasmus+プログラムの奨学金に応募しました。

  

 

学内、受け入れ先との応募前の事前準備

留学を開始する7、8ヶ月前頃から、ボルドー側の研究室の教授やスタッフと、メールやウェブ会議等を通じて研究計画の作成を進めました。
応募・採択後は留学開始の数ヶ月前から住居の確保やVISA申請を準備しました。修学の手続き面では「Lerning Agreement」の締結が必要であり、具体的に履修する授業や、単位互換、研究施設の利用や研究成果の公表にあたって遵守すべき事項などについて、在籍機関と先方機関との間で取り決めを交わしました。様々な準備が必要になりましたが、学内および受け入れ先のスタッフの方々からのサポートにより、スムースに留学準備を進めることができました。

 

日本とは異なる、留学先での研究環境

コミュニケーションを重視する文化があり、デスク間の仕切りはなく、教授の部屋以外は常にドアが解放されており、常に研究者間・学生間で質問やディスカッションができる環境が印象的でした。それぞれの専門性に基づいた分業体制が確立している中で、分野を横断した連携がより重要視されているのだと思います。自身も統計学の専門家や疫学者と様々な議論をし、データの解釈や新しい解析方法について理解を深めることができました。

 

ボルドーの街での生活

ボルドーの町は札幌よりも北に位置していますが、気候は温暖で、冬でも氷点下になることは稀なため過ごしやすいです。10月に開催された外国人研究者を集めたレセプションでは、日本人研究者とも知り合うことができました。同僚や大学院生からはパーティーや催し物に積極的に誘っていただき、フランスの文化に数多く触れることができました。ボルドーの街自体も世界遺産に登録され、教会や歴史的建造物など多くの見どころが存在します。一方、パリまで電車で2時間、スペインや大西洋まで車で2時間という立地に恵まれ、欧州内の観光にも便利です。

 

フランス語は必要か?

研究室やオフィスでは基本的には英語が通用し、フランス語ができなくても研究を進めることはできました。しかし、ひとたび街に出ると案内に英語はなく、店のスタッフも英語を話せない場合が多いです。フランス語ができれば滞在をより楽しむことができ、生活に困ることも少ないと思います。

 

ボルドーの街での生活

留学前は不安でしたが、親切な方々に恵まれ、楽しみながら研究ができました。これまで学会以外で海外の研究者と接する機会がほとんどなかったため、留学を機に国際的なコミュニケーション能力が格段に向上したと実感しています。ボルドーの研究チームとも具体的な共同研究に向けた連携を築くことができましたが、それは滞在中の日々の顔を突き合わせたコミュニケーションを通じて信頼関係が得られたから、と感じています。
フランスは仕事とプライベートのオンとオフをしっかり分ける文化なので、マインドの切り替えの大切さも学びました。昼間は研究に勤しみ、夜はおいしいワインを飲みながら英気を養い、バカンスではしっかりと休む。そうした文化に直に触れることも貴重な経験です。
 

 

*エラスムス・プラスとは
EUの中心的な教育助成プログラムであり、日本の大学は、国際単位移動プロジェクト (International Credit Mobility)、修士課程のジョイントディグリー (Erasmus Mundus Joint Master Degree)、ジャン・モネEU研究コースの3つの主要プロジェクトに参画できます。
International Credit Mobilityでは、大学間の協定に基づき、学生は通常3カ月から12カ月までの短期留学が可能です。また大学のスタッフ・研究者も、欧州の相手大学で5日から2カ月まで、教育・研究・研修に携わることができます。
(参照:駐日欧州代表連合部ウェブサイト

 

 


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