HeKKSaGOn(ヘキサゴン)インターンシッププログラム参加者に体験談を伺いました


HeKKSaGOn(ヘキサゴン)インターンシッププログラム 2016

本学では2016年3月までに、ハイデルベルク大学から博士課程のFrancesco Silvestriさんと、 Timo Essigさん、そしてカールスルーエ工科大学からは同じく博士課程のMichael FärberさんがHeKKSaGOn(ヘキサゴン)コンソーシアムのフレームワークを通じてインターンシッププログラムに参加されました。

このインターンシッププログラムは、HeKKSaGOn(ヘキサゴン)コンソーシアムのドイツ側3校から京都大学へ若手研究者を数週間招聘し、共に研究する本学学生、院生、研究者含め、相互の語学および文化理解などの国際感覚を養成することを目的としています。

プログラムの一環として、彼らは学術情報メディアセンターのマルチメディア・システムを利用し、本学学生のためのドイツ語学習支援などのデジタル教材の開発を支援しました(壇辻正剛教授、南條浩輝准教授がプログラムをコーディネート)。

このプログラムは彼らにとって、日本の大学生活を経験し、自身のドイツでの生活を紹介する機会でもあり、本学の研究者と共同で研究することや、自身の特定分野における講義も受講することができるものでした。

 

プログラム参加者へのインタビュー

そんなFrancesco,さん、Timoさん、Michaelさんの3人に帰国後、日本での生活や受けた印象など彼らの体験を語っていただきました。

Timo Essig (左), Franceso Silvestri (中), Michael Färber (右)

Timo Essigの京大講授

Q:プロジェクトに応募した動機を教えて下さい。

Francesco Silvestri:

日本を体験してみたかった。日本の文化について見識を得たい、日本の人々に会ってみたいとの思いから応募した。日本語の勉強をしており、幼い時から日本のメディア、アニメ、漫画、ビデオゲームに親しんできたが、ヨーロッパに輸入されているものからだけではなく、もっと幅広く日本について知りたいと思った。また、将来的に日本で働く事も考えており、日本の人々の働き方等についても、インプレッションを得たかった。

Timo:

自分もFrancescoと同様に、長らく日本と日本の文化に興味を持ってきた。実際に日本に行って、日本についての個人的なインプレッションを得たかった。また、自分にとっては、ちょうど博士論文を書き上げた時期だったというのも、良いタイミングだった。これまでの通常の研究生活から二週間離れた事で、また新たな研究トピックに取り組むことが出来る。

Michael:

2人と理由はかなり似ている。第一に日本の人々に会い、日本がどんな国かを見ること。第二は、研究面の理由から。自分の研究に関して、あるいは、少なくとも自分の所属機関と協働できる研究グループが京都大学にあるかどうか知りたかった。京都大学で何度かプレゼンテーションをしたが、自分の研究内容に近い研究している准教授に出会った。今後、共同論文を執筆するかも知れないし、共同研究になるかも知れない。

 

Q:京都大学でのお気に入りの思い出について教えて下さい。

Timo:

第一に、人々のフレンドリーさ。ドイツでは、教授とそれ以外の人たちの間に、幅広い隔たりがあると思う。特に自分が日本であった二人の教授は、自分と本当に対等に話をしてくれて、隔たりを感じさせなかった。例えば、京都大学で講演をする機会があったが、その後、教授から夕飯に招待してもらった。ここまでは、ホストとしてドイツでも同じだが、帰り道に、バス停まで実際に案内をしてくれて、しかも自分が乗るバスがバス停に近づいているのを見て、自分と一緒にバス停まで走ってくれた事には本当に驚いた。教授がバスに向かって一緒に走るなんて、ドイツでは想像できない。とても驚いた。

Michael:

日本は面倒見が良い。ヨーロッパではどちらかと言うと自分自身で対処しないといけないことが多い。

 

【フランチェスコさんは日本人のイメージについて、硬くて、冷たくて、職場ではみんなが自分の仕事に集中している、というイメージだったのが、実際にはリラックスした雰囲気で、助け合っていたので驚いた、と以前話されていましたが?】

 

Francesco:

はい。ドイツでのメディアやゲームショーでの日本の描かれ方によるイメージです。それらから実際の印象を得る事は難しいと思います。

Timo:

ヨーロッパ、特にドイツでは、人生において自分一人で対処しないといけない場面が多く、誰も助けてくれない。例えば、(今回のように)ゲストとしてどこかに招待をされたとしても、誰かが助けてくれるとは考えない。例えば、どのバスに乗れば良いかを尋ねると、どこからどのバスに乗ればよいかは教えてくれても、バス停まで実際に案内してくれて、バスが来るまで一緒に待つという事は予想できない。

他に京都大学で、素晴らしいと思ったのが、研究室メンバーの研究内容が非常に多様である事。自分が行動を共にしていた研究室メンバーの研究テーマやトピックはかなり異なっていたが、同じ研究室に所属し、一緒に働いていた。自分の研究テーマと直接的には関係の無い講義も、一緒に受講することがあると聞いて、良いなと思った。例えば、自分とFrancescoは二人とも数学を専攻しているが、このプロジェクトで会うまでは、お互いを知らなかった。同じ研究分野の学生であっても知り合う事は難しい。

Michael:

カールスルーエ工科大学も規模の大きな大学なので、それは同じような感じ。でも、自分が勉強していたウルム大学は比較的小さな大学だったので、同じサブジェクトの人達全員を知っていた。

 

【MichaelさんとTimoさんは、京都大学で講義をされたそうですが、ドイツで講義する際との違いは何かありましたか?ドイツの方が質疑応答が活発な印象がありますが。】

 

Michael:

修士学生と博士学生向けにセミナーをする機会があったが、講義自体はドイツでするのと変わらないと思う。先ほどの内容とも重なるが、ヨーロッパ、ドイツでは一歩先に進もうと思うと、自分から質問をする必要がある。

今回のセミナーでは、沢山質問もされたが、受講者に日本人学生はいなかった。後で理由を聞いたら、英語だったので、セミナーの内容が分からないと思ったからとの事だった。自分がコンタクトを持ったのは、例えばロシア人やイタリア人など、英語の話せる外国人留学生が大半だった。

Timo:

自分も講義自体はドイツでするのと同じだと思う。トピックが純粋数学なので、ハイデルベルクでは受講者が2〜3人というセミナーが多い中、京都大学ではセミナーに受講者が10人〜15人いて驚いた。人数が少ないと、自分が興味のあるセミナーは全部受けられるので人数が少ない事は全く問題ではないのですが。自分のセミナーには、日本人学生もいたし、質問もあった。

 

Q:京都という街についてはどうでしたか?

Michael:

興味深かったのが、神社などを始めとする歴史的な建築物の多さ。そして、それらが、例えば店舗のすぐ隣にあって、混在している事に驚いた。

Francesco:

自分も最初はそう思ったが、ドイツもそれは似ているところがあって、大聖堂や教会、城等がある。でも、普段はその事に慣れていて気がつかない。ヨーロッパには寺や神社はないので、景観の変化として目立つが、きっと外国から来る人の目には、ドイツも同じように映るのだろうと思う。

Michael:

確かに。特にハイデルベルクはそうだと思う。

Timo:

ドイツには無いなと思ったのは、大きな二本のショッピングストリート(※寺町通と新京極通と思われる)の真っただ中、店舗のすぐ隣に寺院があった事。それに、日本の家の大きさを考えると、寺院は非常に大きいと思った。ドイツに比べて、日本の家はとても小さかった。

 

Q:若手研究者として、今回の経験は今後にどう影響すると思いますか?

Timo:

今回、京都大学の研究者とネットワークを形成することができた。自分の研究テーマと完全に一致する内容では無かったが、多くの新しい研究トピックの提案を得て、数多くのインプットがあった。だからこれから沢山取組むことがある。数学という分野は本当に時間のかかる分野なので、少なくとも半年から1年位かけて、その新しいトピックに対して研究を進めることができそうか、可能性を探っていかなければならない。その結果、新しいトピックに飛び込んでいけそうだと判断できれば、日本でのポストドクターに応募するかも知れない。

Michael:

自分も同じ。この先、今回の経験がどのような結果に直接結びつくかは分からないが、京都大学で自分の研究内容と近い内容を研究している研究者と出会えた。これから共同研究や共同論文に繋がっていくかも知れないが、今はまだ分からない。少なくとも、JSPSのプログラムやHeKKSaGOn等、今後の可能性について知ることができた。

Francesco:

他の二人が言ったように、研究トピックの合致などの条件が整わないといけないので、ポストドクターについては難しいかも知れない。でも、研究交流などでまた日本に行く機会があれば是非行きたいと思う。これから数年はそのような機会を探します。

 

 

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