「アーヘン工科大学の奨学金を獲得し、6ヶ月間ドイツに滞在」


成原

なりはら たかのり

 
 
所属:京都大学大学院工学研究科建築学専攻 博士課程後期課程
滞在先:アーヘン工科大学(RWTH Aachen)
滞在期間:2022年7月〜2023年1月

 

 本学の工学研究科建築学専攻で「制作過程における映像作家の風景評価の体系化とその建築実践」をテーマに掲げて研究されている成原隆訓さんに、アーヘン工科大学での研究滞在についてお話を伺いました。

 

海外滞在の動機

成原さんがドイツでの滞在を決意したのは、博士後期課程の最終学年でした。主な動機は次の3点です。

  1. 博士課程の指導教員の協力者がアーヘン工科大学にいて、既存のネットワークが活用できること。
  2. 成原さんの研究分野が公共空間で、博士課程在学中にドイツ・ルール地方のIBA(Internationale Bauausstellung、国際建設展覧会)プロジェクトが目にとまったこと。
  3. ドイツ映画が大好きで、特にヴィム・ヴェンダースはこの地方で育ち、初期の作品もここで制作していること。

成原さんは、研究の資料集めと新たな発想を得るためドイツへの渡航を決断しました。

 

奨学金について

当初、成原さんは奨学金を受けられるかどうか、そもそも何から手をつけていいのか分からなかったそうです。しかし、指導教員を通じて、アーヘン工科大学が提供している奨学金(AROP(Advanced Research Opportunities Program)奨学金プログラム)のことを知り、欧州拠点に問い合わせをしたところ、同大学の事務局と繋いでもらうことができたとのこと。アーヘン工科大学の担当者とやりとりをしながら、受け入れ教員とコンタクトをし、さまざまなアドバイスももらって採択に至りました。1,000ユーロの渡航費支援と月額1,800ユーロの奨学金は大きく、ゆとりをもってドイツで生活ができるそうです。

 

滞在中の活動

前述のIBAプロジェクトの一つ、IBA Emscher Parkは1989年から1999年にかけて、廃坑や製鉄所などのあるドイツの「さびれた地域」を緑豊かなレクリエーション地域に変貌させるとともに、一部の産業施設を記念施設として保存する大規模なプロジェクトです。ドイツ滞在中に同プロジェクトの多くのサイトを訪問することができました。その際、公共交通機関がうまく整備されていて、各拠点と周辺都市が便利に結ばれていることにも驚きました。また、これらの場所が、訪れる人々に「余韻」を与える機会を提供していることに気づき、そのことが重要な機能であると考えるようになりました。更に、アーヘン工科大学の指導教員がこのプロジェクトに携わっていたため、建築家やプロジェクトマネージャーとも知り合うことができました。

 

滞在中の気づき

米国で3ヶ月の周遊を経験していたこともあり、海外旅行には慣れていたという成原さんですが、観光で訪れるのと、その国で生活するというのは別物でそれも印象に残っているとのこと。その違いを意識することが大切で、それが視点の変化となり、自分の仕事への新たな経験や気づきにつながると、成原さんは考えているそうです。

アーヘン工科大学では、自分の関心の赴くままに自由に調査や勉強ができるのが楽しいといいます。次の進路を考える時間にもなっているとのこと。

ドイツでの滞在を楽しんでいる様子が溢れ出てくる成原さん。学業や人間形成にプラスになったこと、このような機会を与えてくれたことに感謝していることを繰り返し強調してハイデルベルクの街の新たな探検に消えて行かれました。■

 

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