活動紹介・若手研究者レポート
観測データとモデリングデータの統合による火山噴煙の発展に関する理解
瀧下 恒星
防災研究所・博士後期課程学生
ドイツ側パートナー機関:ハンブルク大学地球物理学研究所
受給年度:2021年度

ドイツ側パートナー:

  • ハンブルク大学地球物理学研究所 Prof. Dr. Matthias Hort

訪問期間: 

  • 新型コロナウィルス感染拡大により訪独かなわず

訪問目的:

  • 解析的な噴煙シミュレーションモデルの習得
  • ハンブルク大学との国際研究協力関係の構築
  

プログラムへの応募動機

所属研究室にいながらにして噴煙シミュレーションの計算を実行できる環境構築を目指して

私は現在所属する研究室において,火山噴煙から分離する火山灰粒子の分離高度の重量分布を推定する研究を行っている。得られた推定結果の妥当性を議論するためには,私の行う推定手法と別の方法で解析的に計算される噴煙モデルを用いた推定結果との比較が必要であるため,噴煙シミュレーションの研究経験豊富なドイツの研究者のもとで新たな噴煙モデルによる計算法の習得を目指すことを考えた。

そこで,2021年度中に当該研究者の所属するハンブルク大学を訪問し,同大学の計算設備で簡単な条件でシミュレーションを実行するとともに,私の所属研究室にいながらにして計算を実行できる環境を構築することを計画し、AIDAのプログラムに申請した。

 

交流の成果

オンラインでの噴煙シミュレーションモデルの計算を実行

オンラインでの指導を受けながらシミュレーションモデルの実行と,研究の意見交換を行ったハンブルク大学の計算設備の使用者アカウントを発行して研究室からアクセスし,zoomを介してレクチャーを受けながら,噴煙シミュレーションモデルの計算を実行した。またzoomでセミナーにも参加し,私の研究室とは異なる研究手法での火山研究の知見を得たり,私自身が発表することで,普段議論している研究者とは異なる視点からの議論ができ,自らの研究の視野を広げることができた。コロナ禍で急速な成長を遂げたオンラインでのコミュニケーションツールのおかげで,遠距離でも計画を遂行することはできたものの,滞在して集中的に実行するよりは能率が下がったとともに,他国の研究室の雰囲気を感じて自らの研究環境を客観的に見つめる機会は失われた。

 

今後の展望

今回の研究交流によりレクチャーしていただいたシミュレーションコードを用いることで,今まで自分が取り組んできたアプローチとは異なる方法での噴煙シミュレーションを体得しつつある。引き続きシミュレーションコードでの複雑な条件での計算ができるよう試行錯誤を続け,これまで私が取り組んできたアプローチと結びつけて広い視野で噴煙ダイナミクスの理解を深めたい。英語で口頭での議論をする経験も得られたので,今後国際的に議論する機会で臆することなく積極的に議論していきたい。

 

 


ハンブルク大学の研究者とのオンライン議論の様子