日本側パートナー:
- 京都大学エネルギー理工学研究所
訪問期間:
- 2023年03月09日~ 03月20日
訪問目的:
- マックス・プランク・プラズマ物理研究所との新たな研究ネットワークの構築
- 大型プラズマ実験装置W7-Xへの実験参加
ドイツ側訪問先:
- Dr. Matthias Hirsch(マックス・プランク・プラズマ物理学研究所)
プログラムへの応募動機
将来の新しいエネルギー源として期待される核融合炉の実現
将来のエネルギー源として期待されている核融合炉の実現に向けた研究が、日独双方の研究機関において活発に行われている。マックス・プランク・プラズマ物理学研究所と京都大学エネルギー理工学研究所はステラレータ・ヘリオトロンと呼ばれる概念に基づいて設計された磁場閉じ込め核融合装置をそれぞれ有しており、共通する物理課題に向けた取り組みを進めている。本プログラムは、マックス・プランク・プラズマ物理研究所との新たな研究ネットワークの構築に向け、京都大学の博士課程学生が大型プラズマ実験装置W7-Xへ実験に参加するとともに、磁場閉じ込めに関連した研究課題に関する議論を行う。
交流の成果
磁場閉じ込め核融合プラズマの理解
京都大学エネルギー理工学研究所のプラズマ実験装置Heliotron Jでは、磁場閉じ込め核融合プラズマの閉じ込め・輸送を理解することを目的に、マイクロ波反射計を用いて閉じ込め改善と径電場との関係や密度揺動の挙動を実験的に調べている。今回、W7-X装置での実験が行われている時期に訪独し、Heliotron J、W7-X装置双方において進められている磁気島領域の計測手法とその精度について学ぶとともに、マイクロ波反射計システムの設計についてドイツ側の若手研究者、Dr. Thomas Windisch等と議論した。また、マイクロ波計測機器のシニア研究者であるDr. Matthias Hirschといった方々とも親睦を深める事ができ、今後の研究活動を発展させる足がかりが得られた。大学と異なる大規模な研究機関における実験の進め方、研究環境を肌で感じる事ができた他、将来、研究者として働く事を見据えた貴重な経験ができた。
今後の展望
今回の訪独で得られた知見は、研究方針や研究に使用しているシステム設計の見直し等、今後の研究活動において貴重なものとなった。今後は、今回得られた反射計研究ネットワークを、ステラレータ・ヘリオトロン型の研究装置だけでなく、トカマク型の研究装置にも拡大できるよう努めるとともに、トーラスプラズマに共通するプラズマ物理研究の発展に貢献するものと期待される。
W7-X制御室