活動紹介・若手研究者レポート
気候変動が都市植物多様性と生態系サービスに与える影響
康 傑鋒
地球環境学舎 博士後期課程学生
受給年度:2022年度
ドイツ側パートナー情報:ブラウンシュヴァイク工科大学
Dr. Michael Strohbach

日本側パートナー:

  • 京都大学エネルギー 地球環境学舎

訪問期間: 

  • 2022年04月06日~ 06月03日

訪問目的:

  • ドイツでの新たな研究ネットワークの開拓
  • 訪問したグループとの都市生物多様性研究における学術交流

ドイツ側訪問先:

  • Dr. Michael Strohbach(ブラウンシュヴァイク工科大学)
  

プログラムへの応募動機

都市生物多様性研究の分野で先駆的なヨーロッパの学界へのアプローチ

私の研究は都市生物多様性に関するものである。京都市を例として、市内の植物多様性のパターンを調査・分析した。さらにそのパターンを理解するために、自然および社会的要因の影響を調査した。自然生態系における植物群集とは異なり、都市の植物群集の形成は人間の活動に強く影響を受けることだ。都市の文化的・社会的・経済的な特徴を理解することが、その形成のプロセスとメカニズムを理解するために必要である。そのため、複数の都市を対象とした研究は、都市生物多様性の形成における共通のプロセスを明らかにするのに不可欠である。一方、ヨーロッパの学界は都市生物多様性研究の分野で先駆的な存在である。上記の考慮に基づき、このプログラムに応募した。

 

交流の成果

研究計画の修正

ドイツの研究者、訪問先のマイケルさんとの検討の結果、研究計画を変更した。元々の計画は都市の生物多様性と生態系サービスの関係を探ることであった。自然生態系の研究では、生態系サービスの高さは通常、生物多様性の高さと関連しているという仮説がよく知られている。マイケルさんは経験豊富な研究者であり、データ解析も得意である。私たちはその関係性に基づく仮説のメカニズム理論が都市生態系には適用されない可能性があることに気付いた。そのため、計画を修正し、日本とドイツの都市における、気候変動の都市生物多様性と生態系サービスへの影響を探すつもりだった。

研究所の都市生物多様性プロジェクトの見学

私が所属する京都大学の研究室では主に野外調査に重点を置いているが、訪問先の研究グループでは野外調査とモデルの両方を使用している。彼らの動物追跡プロジェクトを野外で見学した。研究室の他の研究者も、新しい技術や種分布モデルなどを都市生物多様性研究に応用する面白い事例を紹介してくれた。

ちょっとネットワーク構築

ブラウンシュヴァイクにいた時、日本とドイツの研究グループの間でビデオ会議を企画したが、結局はただメール交流した。両研究室の間正式な共同研究を行うことはなかったのに、京都大学側はドイツの研究グループやDAADプログラムに興味を持っている人がおり、その一人がマイケルさんと連絡した。このプログラムは私のような多くの学生に助けられたし、今後も助けられるでしょう。

 

今後の展望

卒業後は、新しいデータと技術の生態学研究への応用に興味があり、ビッグデータとクラウドソーシングデータを使用して、生物多様性に関する研究を続けている。現在の研究は、技術の観点からマイケルさんの研究分野に関係がある。将来は、共通の関心問題を見つけ、共同計画を立てることを望んでいる。ただし、現時点では具体的な研究問題が異なるため、最小限の実現可能な目標として、訪問期間のプロジェクトを完了しようと思う。また、プログラムや訪問先のグループとの連携を希望する学生や若手研究者のサポートができれば、喜んで行うと思う。