活動紹介・若手研究者レポート
ナレッジグラフを利用した学術情報推薦システムの研究開発
西岡 千文
附属図書館・助教
ドイツ側パートナー機関:カールスルーエ工科大学 応用情報学・形式記述法研究所(AIFB)
受給年度:2020年度

ドイツ側パートナー:

  • カールスルーエ工科大学 応用情報学・形式記述法研究所(AIFB) Dr. Michael FÄRBER

交流内容: 

  • 月一回程度のオンラインミーティングを実施

交流目的:

  • 学術情報流通に関する共同研究の実施に向けた情報交換

※新型コロナウィルス感染症の影響により、日本-ドイツ間の渡航ができなかったため、オンラインによる交流を実施しました。

 

プログラムへの応募動機

学術情報流通の研究開発が進むドイツ機関との共同研究実施を目指して

私は現在所属する附属図書館において、学術情報流通についての研究開発を行っている。人工知能技術の発展・受容により、図書館は人だけではなく機械も対象として学術情報を提供することが期待されている。本プログラムで交流したドイツの研究者らは、学術情報を機械可読なナレッジグラフという形式に提供し、学術情報推薦システム等のアプリケーションでの応用についての研究を行っている。彼らと共同研究を実施することを考え、京都・DAADプログラムに申請した。

 

交流の成果

オンラインミーティングの実施と共同出版

新型コロナウイルス感染症拡大によって、お互いに渡航することはできなかった。しかし、おおよそ毎月、Zoomを使用したオンライン会議で交流できた。
ドイツ側からは、Microsoft Academic Graphといった学術情報リソースをRDFで提供する取り組みについて話題が提供された。こちらからは、OAI-PMHというプロトコルを使用した図書館システム(蔵書検索システム、機関リポジトリ等)とデジタル教材配信システムとの連携による図書館資料推薦システムについて、話題を提供した。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でドイツでもオンライン授業の実施が必須となる中、デジタル教材配信システムに付加価値を与える推薦システムについて興味をもっていただくことができた。さらに、このプロジェクトに参加した研究者が協力して国際会議(JCDL’22)へ共同出版を行い、今後のコラボレーションの足掛かりをつかむことができた。

 

今後の展望

本プログラムでは渡航して直接研究者と交流することが叶わなかった。よって、新型コロナウイルス感染症拡大の影響がなくなったら、AIFBを訪問し、研究開発はもちろんのこと、研究体制についても観察することで、効率的な研究開発の在り方を探りたい。また、オンラインでの交流で伺うことのできた、彼らの学術情報のナレッジグラフの構築についての取り組みを、日本語の学術情報にも応用したい。

 


2019年の渡航時Dr. Michael FÄRBERと面談したときの様子