活動紹介・若手研究者レポート
【インタビュー】京都大学・DAADパートナーシップに参加して
アブラティ・モシャ
医学部心臓血管外科・博士後期課程
ドイツ側パートナー機関:ハノーバー医科大学 ライプニッツ研究室(LEBAO)
受給年度:2020年度

ドイツ側パートナー:

  • ハノーバー医科大学 ライプニッツ研究室 Andres Hilfiker教授

訪問期間: 

  • 2020年10月8日~2021年3月19日

訪問目的:

  • ドイツでの新たな研究ネットワークの開拓と長期滞在へ向けた研究基盤の構築

ハノーバー医科大学に渡航先を決めた理由は?

脱細胞血管グラフトなど、心疾患手術に用いる医療材料を実用化する最先端の研究が行われいるハノーバー医科大学の研究者とかねてから交流のある、升本英利先生(医学研究科・助教)や指導教員の湊谷謙司先生(医学研究科・教授)が渡航を勧めてくれました。

 

渡航の成果は?

当初の渡航目的であった実験手法の習得はもちろん、生物医学研究開発センター(NIFE Hannover)での最先端機器に関する知識だけでなく、センターの研究者との交流で広がった研究者ネットワークも大きな成果です。

 

報告書に書いてくださった「ワークライフバランスがとれた研究環境」とはどのようなものですか??

リモート会議に子どもと参加するメンバーがいたり、メンバーの誕生日をお祝いしたり、家族や仲間を大切にしていることを感じました。私も滞在中に誕生日をお祝いしてもらいました。研究時間を確保するために動線が工夫されていて、研究施設と病院、食堂の間が移動しやすくなっていました。また研究室の前にカフェテリアがあって、いつでもコーヒーを飲みながら意見交換や議論ができたり、会議の際もお菓子が用意されていたり、リラックスした雰囲気の中でこそ仕事の効率が上がるのではないでしょうか。

 

ドイツで素晴らしい経験をされましたが、コロナ禍での渡航の実現にあたり、京都大学の所属研究室からのサポートはありましたか?

はい。研究室の秘書の佐藤さんは渡航の準備の際だけでなく、現地で問題が生じた時にも直ちに対応してくださいました。湊谷先生からは「研究も大切ですが、折角だから時間を作ってドイツも楽しんでください」という温かいメールを頂戴し、大変嬉しく思いました。升本先生にはドイツでの住居の手配に加えて、常に生活や研究上の悩みの相談に乗っていただきました。この場を借りて両先生、佐藤さんに感謝を申し上げます。

 

日本に帰国してからの交流はどうですか? 再びドイツへ渡航する希望はありますか?

オンラインによる研究交流を続けながら、ホライズン・ヨーロッパ(Horizon Europe)等への応募を検討しています。今回の渡航を通じて、ドイツと日本の研究環境の違いを知り、大きな学びになりました。将来またドイツで研究をして、日本とドイツの研究の架け橋となりたいと思います。

 

今回の滞在は今後の研究者としてのキャリアにどのような影響を与えると思いますか?

異なる背景の研究者と交流して良い人間関係を築けたことは、今後の共同研究やネットワークの構築に大きな意味を持つと思います。また、生涯をかけて研究に打ち込む研究者の姿を見たことで、自分も目標に向けて継続的に取り組む必要性を感じました。

 

どんな研究者を目指しているのですか? 研究の目標は?

臨床にも研究にも取り組む湊谷先生や升本先生がロールモデルで、iPS細胞技術とドイツで学んだ脱細胞化技術を融合して、重症心疾患で苦しんでいる患者さんの完治に貢献できる臨床応用に向けた研究をし、研究経験を重ね若手研究者を育成できる国際的なリーダーを目指しています。

 

 

もっと詳しくインタビューを読みたい方は、こちら!(1.2 MB)

 

 

アブラティ・モシャさんのプロフィール

中国新疆ウイグル自治区ウルムチ出身。2016 年に来日、大阪大学大学院生命機能研究科研修生を経て、2018年4月京都大学医学研究科博士課程入学。同科心臓血管外科の研究部門責任者である升本英利助教の下、研究活動を行う。